進捗日記

うまくいくかどうかは関係ない。何事も経験だ。好きな言葉は「ダメもと」です。

📝よそから見た国の宝

 今までの人生で、かれこれ二十回ぐらいは引っ越しを経験してきた。「二十回ぐらい」と書いたのは、小さい頃のことは覚えていないからだ。観光ではなく実際に住むことで、おのずとその土地の方言にも詳しくなった。

 よそから来た者にとって方言の難しいところは、意味が分かったからと言ってその言葉を簡単に使えないところにあると思う(もちろん使いこなせる人もいるのだろうが)。言葉自体になじむのにも時間がかかるし、よしんばイントネーションをコピーしたとしても、下手に真似をすると、地元の人から「馬鹿にしてるのか」と思われそうで、とてもじゃないけど怖くて使えない。

 でも子どもは違うようだ。息子は関西に引っ越した翌日には関西弁を喋り出したのだが、それが板についていてまわりになじんでいることに驚いた。個人差はあれど、子どもの先入観のなさがなせるわざだろう。もっと面白いのは、別なところに引っ越すと、そのイントネーションが瞬時にとれてしまい、言葉も忘れてしまうらしい。ものすごい順応力だ。

 方言のおもしろいところは、同じ地方でもちょっと距離があるとバリエーションが生じることだ。大阪、神戸、京都のいわゆる三都でも、お互いにこの言葉は使わないというのがあって、私にしてみればその違いがさっぱり分からないのだが、地元の人は区別して使っているらしい。愛知県に住んでいたときは「あの土地の人と一緒にしないでほしい」みたいなのがあって(半分は冗談で言っているのだろうが)、よそ者としてはそういうやりとりが興味深く、一歩引いて楽しく眺めていた。

 かくいう私も地方出身者なので、久しぶりにどんな方言を使っていたかを思い出してみた。とは言うものの、地元を離れて数十年経つので、ググらなければ思い出せず、我ながら失笑してしまった。言葉は使わないと忘れてしまう。ちなみにこの方言のほとんどは息子には通じなくて、いちいち説明する必要がある。

 ここまで書いて思い出したが、父方の祖母は浜の出身で、この浜言葉というのがなかなかの曲者だった。祖父母の家に行った時、話しかけられてもなんて言ってるのかぜんぜん分からなくて、親戚に通訳してもらった覚えがある。

 さてここで問題です。次の文章はいったいどういう意味でしょう?

【じょっぴんかってこなかったの? いやいや、はんかくさいんでないかい】